
習慣
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6時10分。アラームが鳴ると同時に起き上がり、そのまま浴室に直行してシャワーを浴びる。頭を洗い、体を洗い、顔を洗う間に徐々に感情が戻ってくる。
まだ眠い。布団から出たら寒い。人間関係は難しい。出来ればずっと家にいたい。考えれば考えるほどに、まだ眠い。布団から出たら寒い。人間関係は難しい。出来ればずっと家にいたい。
だけど会社には行かなければならないわたしは、思考だけ後から起こすという技術を身につけた。アラームが鳴ったら起き上がってシャワー。そこから徐々に頭が起きてくる。風呂のドアを開けて、ご飯待ちの猫たちにおはようと挨拶をするところから1日を始めるから、朝はいつも朗らかな気分でいられた。
会社を辞めて2ヶ月が経とうとしている。
毎日6時10分に起床して、身支度と猫の世話を済ませてから、就業開始の10分前には会社に着くよう家を出る。そんな習慣を日々繰り返していたなんて、なんだかもう、夢の中の出来事のようだ。
みんなそれぞれの習慣を生きている。状況に応じて生活は変化し、習慣も変わる。習慣って、まるで自然に出来たかのようにさりげなく生まれるけど、実際は小さな能動性の積み重ねから作られていく。だから、気持ちの持ちよう次第で良いものにも嫌なものにもなる。当たり前のことだけど、決して簡単なことではない。やさしい人も、卑しい人も、実際はどちらも持ち合わせている。小さな意思の積み重ねが習慣を作り、その人を形作る。
今は、ご飯を催促するふくの大きな鳴き声で目を覚ます。新しい習慣。わたしが選んだ毎日のかたち。