
立ち止まる
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何気ない日常の途中で、思わずハッとして立ち止まる瞬間がある。
晴れた冬のあかね空、澄んだ空を渡るひつじ雲、橋脚に反射する川の揺らぎ。
眠れない夜に、どこか遠くで鳴る踏切の音。
民芸品のようなアサリの模様。
毎度、何かしらの形に見えるふくのうんち。
だけどその一方で、息を呑むような情景を、横目にそのまま通り過ぎてしまうこともある。
しかも、「今の、すごい景色だったな」なんて思いながら。
だったら立ち止まればいいのに。
でもこういう場面、少なくない。
なんでだろう?と考えてみたけれど、たぶんそれでちょうどいいのだと思う。
綺麗な景色や珍しい出来事を、なにがなんでも掬い上げる必要はない。
立ち止まるにも、ちょうどいい頃合いと塩梅がある。
心のタイミングが合ったときに、ゆっくり足を止めて、その時間に浸れたらいい。
ふくのうんちが、今朝は「山」のかたちをしていた。まるで激レアな天文現象のようにしっかりと心に刻まれた。