贅沢なリフレッシュ

贅沢なリフレッシュ

夫とあまり休みが合わないので、たまに合う日はせっかくなので、車で少し遠出をする。
猫のご飯の時間までに帰って来られる範囲で、目的をひとつ決めて、それを軸に周辺を調べていく。まず、この作業が楽しい。骨董市、温浴施設、ローカルスーパー、雑貨屋さん、直売所、地元で人気のごはん屋さん…。当然ながら、調べた分だけ行きたいところは増えていく。そしてピンだらけの地図から、夫が現実的なルートを組み立ててくれる。

録りためたラジオを流しながら、日常から少しずつ離れていく。

景色が徐々にうつろう時もあれば、気づけば山並みに囲まれている時もある。
有料道路を螺旋状に降りて赤信号で止まるとき、目の前で揺れる蜃気楼が「向こう側」への扉のようで胸がすこし高鳴る。

同じ背丈の稲穂が風に揺れて、その風が車内に、日常とは少し違う匂いを運んでくる。
定食屋で「あ、この番組、先週はリビングで観たな」と思い出したり、直売所に並ぶ野菜と冷蔵庫の在庫を照らし合わせて献立を考えたり。民芸品店では、猫のおやつ皿によさそうな器を見つけて、美味しそうに食べる姿を想像して嬉しくなったりする。

非日常も、日常の続きにすぎない。でも、そのつながりの中で生まれる変化や気づきこそ、いちばん贅沢なリフレッシュなのかもしれない。

日が暮れて、心地よい疲労感でシートにもたれる頃、気づけば視線の先が砂のようにほどけて、小さな悩みがすっと抜けていく。そして「さて、またがんばろうか」と気持ちがリセットされる。平日も休日も、一般道も有料道路も、現実も想像も、自分の道の途中にある。だからきっと、どこかへ出かけたくなるのだろう。

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